froid de canard


froid de canard 
寒い日が続いていますね。ここ数日のような、肌を刺すような寒さのことを、フランス語では un froid de canard と言います。un froid が「寒さ」、canard は「カモ、アヒル」のことです。

この表現は、la chasse au canard(カモ猟)の際、水際で獲物が近づいてくるのをじっと待っている時の、骨髄まで染み込むような寒さを表現しているらしいです。想像するだけで glagla ((寒くて)ブルブル)してしまいますね。

ところで、フランスの café(カフェ、喫茶店)で «Un café, s’il vous plaît.» (コーヒー1つ下さい) と注文すると、必ず横に un morceau de sucre (角砂糖) がついてきますが、この le sucre を du café の中にぽちゃんと浸したものも un canard と言います。わざわざ名前がついているくらいですから、この「コーヒーにぽちゃんと漬けた角砂糖」、かなり市民権を得ていて、café は noir (ブラック) が好きという人もこの canard をガリガリと食べていたりしますので、フランスで café に行ったら、un canard をかじっている人がいないか、周りを見回してみて下さい。

ちなみに、びしょ濡れになることを « être mouillé (trempé) comme un canard » 「カモのように濡れる:mouillé / trempé = 濡れる, comme = 〜のように」と言います。un cygne (白鳥) や un oie (がちょう) も水鳥なのに、やはりフランス人の生活には les canards が一番身近なのでしょうね。

le canard と言うと思い出すのが、フランスでの学生時代、Paris で就職した知人と一緒に le déjeuner (ランチ) に行った時のこと。何故か彼女の職場のオジ樣方数名とご一緒することになったのですが、連れて行かれた le restaurant の le plat de jour (日替わり料理) が le canard のローストでした。 

« Comme cuisson ? » (焼き加減は?) と聞かれて、オジ樣方は皆揃って « Rosé. » と答えています。cuisson と聞かれれば à point (ミディアム) と覚えていた私はドキドキしながら « Moi aussi. » と答えて待っていると、うっすらピンク色のちょうどいい案配に焼けた du canard が運ばれて来ました。à point は du boeuf (牛肉) に使う用語で、le canard には rosé というのだと、オジ樣方に教わりつつ、舌鼓を打ちました。  

la cuillère en bois


la cuillère en bois:木製のスプーン 
とても驚かれることが多いのですが、我が家の le petit déjeuner (朝食) の定番は納豆ご飯です。そしてその時に奪い合いになるのは une cuillère en bois (木のスプーン) 。la cuillère à soupe (スープ・スプーン) と la cuillère à dessert (デザート・スプーン) の間くらいの大きさで、le bol en céramique (陶器のボウル) に当たってもカチカチと言わないので、納豆にはちょうどいいのですが、わざわざ買った物ではなく、頂き物の un gâteau allemand (ドイツ菓子) か何かについていたものなので、1本しかないのです。食器屋さんや和の小物屋さんに寄る度に同じような物を探すのですが、なかなかちょうど良いのがなく、いっそのこと le gâteau を買おうかと、la carte (カード) が欲しくて le chocolat (チョコ) を買う子どもの心境になっています。以前は mon mari (ダンナ) と «Premier arrivé, premier servi.» (早い者勝ち) の暗黙のルールに則って、早起きした方がこの la cuillère en bois を使っていたのですが、最近この争奪戦に子ども達も参入してきました。hier matin (昨日の朝) はトマが素早く la cuisine (キッチン) に走って la cuillère を取って自分の席に座り、さあ納豆を口に運ぼうかという時に横から «C’est à Lucas !» (ルカの!)  とルカ。どうしてもトマには我慢をさせることが多いので、たまには介入しようと «Demain, ce sera ton tour. Aujourd’hui, c’est à Thomas.» (明日はルカの番にしようね。今日はトマの) とアンパンマンやミッキーの les cuillères を持ってきてやりましたが首を縦に振りません。そのうち「あいそはぐー、だんけんぽっ」(最初はグー、じゃんけんぽん) と、じゃんけんを挑んできました。ルカは半分程指が曲がった半端なパーを出して、チョキを出したトマにあっさり敗北。ややこしいことになったぞと思っていたら、トマが «Encore une fois.» (もう一回) と言い出し、なんと、後出しをしてルカに勝たせてやり、la cuillère をルカに譲りました。かくして、ルカはご満悦で納豆ご飯を食べ、母にべた褒めされたトマもなんだか誇らしげ、思いがけない平和的解決に母は驚くやらうれしいやら。les genoux de maman (母の膝) に始まり、la voiture de police (パトカー)、une capsule de bouteille en plastique (ペットボトルの蓋) に至るまで、とにかくなんでも同じ物を欲しがって des disputes (ケンカ) が絶えず、最近では可能な限り同じ物を2つ用意するようにしていましたが、1つの物を奪い合い、そして譲り合うことで育つ心もあるのだと学んだ朝です。

galette des rois

お正月気分が少し抜けつつあるこの時期、フランスでは la galette des rois という、アーモンドクリームが入ったパイ菓子を食べます。galette というのは丸くて平たいクッキーやパイの類いのこと、rois は王様のことです。

「王様のお菓子」と言うと、Louis XVI が Marie-Antoinette と Versailles で食べていたようなものを想像しますが、les rois といっても rois mages、日本では「東方の三博士」と呼ばれる、Jésus Christ (イエス・キリスト) の la naissance (誕生) を祝うために l’Orient (東の方) から des cadeaux (贈り物) を携えてやってきた賢者達のこと。

le 25 décembre に誕生したのを知り、遠方はるばるやって来て、le petit Jésus に会ったとされる le 6 janvier (1月6日)は Épiphanie (公現祭)、つまりキリストが公に姿を現した日として祝われ、la galette des rois を食べるようになりました。でも6日は祝日ではないため、フランスでは家族が集まりやすいように、今では Noël (クリスマス) から数えて2番目の dimanche (日曜) になり、今年の Épiphanie は8日で、我が家でも近所の友人一家を招き、みんなで美味しく頂きました。

この galette の中に隠れているのは une fève、もともとはソラマメを表しますが、最近では陶製の小さなお人形が入っています。伝統的には、集まった人達の中で一番若い人 (たいていは子ども)が sous la table (机の下) に隠れ、別の誰かが la galette を切り分け、« C’est pour qui cette part?» (これは誰の分?) と sous la table の子どもに聞き、子どもは «C’est pour papa.»(パパの分) といった具合に決め、それに従ってみんなに配ります。

我が家の最年少はルカですが、彼にやらせるときっとみんなルカの分になってしまうので、今年はトマにやらせました。さて、なぜ隠れるのかと言うと、切り分けた時に la fève がうっかり顔を出すことがあるので、どの la part (一切れ) に la fève が入っているか見えないようにするためです。そして la fève が当たった人が le roi (女性ならば la reine : 女王) になり、la couronne (王冠 : la galette を買うと必ずついています) をかぶって自分の好きな人を la reine もしくは le roi として選び、みんなに «Vive le roi !» (王様万歳!) と祝福されます。

 le roi になったらその1年間 le bonheur (幸運) が続くとも言われるこの楽しい行事ですが、la fève の入っていない la galette des rois もあります。それは毎年 l’Élysée (大統領官邸) に贈られるもの。直径1mètre, 重さ 30 kilos 以上と推定されるこの特大 galette には la fève も la couronne もありません。le Président (大統領) がピカピカの la couronne を冠って、«Vive le roi !» なんて拍手されるのは、やっぱりマズいんでしょうね。

Bonne année !



新年あけましておめでとうございます。エフィは今日が仕事始めで、la banque (銀行) へ行ってきたら、順番待ちの番号札がぴったり100番でした。なんだか幸先が良いような新年です。今年もどうぞよろしくお願い致します。

この時期フランスでは Bonne année ! と言って新年を祝います。bon は「良い」 (année が女性名詞なので形容詞の bonne も女性形になります) année が「年」という意味なので、日本の「良いお年を」と似ているため、à la fin d’année (年末に) 言ってしまいたくなりますが、あくまでも le jour de l’an (元旦) が過ぎてからの挨拶なので気をつけましょう。

さて、今年はフランスには行かず、富山の chez mes parents (実家) でのんびり過ごし、このブログもついつい長い冬休みにしてしまいました。en décembre (12月) に降り続いたde la neige (雪) がたっぷり積もり、les enfants (子ども達) は大喜び。年末から la toux (咳) が続いていたトマが少し de la fièvre (熱) を出してしまい、ルカもはな垂れだったので数日は le poêle (ストーブ) と le tapis chauffant (ホットカーペット) でほかほかの le salon (茶の間) でおとなしく遊んでいましたが、ちょうど元気になった頃、le soleil (お日様) が出たので、すっぽり着込んで le jardin (庭) に出ました。

1日目は papa とトマの2人で un bonhomme de neige (雪だるま) を作り、その翌々日はようやく4人揃って、le bonhomme de neige のための la maison (家) を作ろうと、かまくらを作ることになりました。私もウン十年前を思い出しながら une pelle (スコップ) を持って、le jardinage (庭仕事) 用の une petite pelle (小さなシャベル) を持って周りをうろちょろするルカに気を付けながら、掘っては積み上げ、掘っては積み上げの繰り返し。

アッという間に、体がぽかぽかと暖かくなり、le bonnet (帽子) を脱ぎ、l’écharpe (マフラー) を外し、仕舞いには les gants (手袋) まで外してしまいました。そうそう、この感覚。き〜んと冷たい空気を吸い込みながら、汗だくになって、昔はよくそうやって toute la journée (一日中) でも外で遊んでいたな〜。と、la nostalgie (ノスタルジー) に浸っているうちに、mon mari (ダンナ) がどこからか une luge (そり) を調達して来て、les enfants を載せて le jardin の外に出て行ってしまいました。

急いで les pelles を片付けてついて行き、今は le parking (駐車場) になっている l’école primaire (小学校;私の母校ですが、過疎化に負けて数年前に隣の l’école と統合されてしまいました) の跡地へ。un chasse-neige (除雪車) が作ったと思われる、la luge にちょうどいい案配の小山があり、トマとルカは競い合って順番に勢いよく歓声を上げながら滑り、 «C’est le tour de maman !» (お母さんの番だよ!) と言われて私もこれまたウン十年ぶりに la luge に乗って、ますます気分は l’écolière (小学生) 。

でも気がつくとルカの le pantalon (ズボン) がびちょびちょで、まだ帰りたくないとごねるのを無理矢理 la luge に載せて、le tapis volant (空飛ぶじゅうたん) のように帰りました。今年も相変わらず子ども達と遊ぶ時間はたくさん取れないと思いますが、«La qualité est plus importante que la quantité.» (量より質が大切) 、一緒の時はできるだけ濃い時間を楽しむようにしたいものです。

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